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最高裁判所第二小法廷 昭和24年(れ)333号 判決 1949年7月30日

主文

本件上告を棄却する。

理由

辯護人滝川三郎上告趣意第一點について。

舊刑訴第六二條はいわゆる訓示的規定であるとの大審院の見解(大審院大正十三年(れ)第九一二號同年七月四日判決參照)は、當裁判所においてその所見を一にするものである。そこで所論のように原審においてもその判決宣告の際たとえ公判調書が未整理であったとしても何等判決宣告の妨碍となるものではない。何となれば裁判官は公判調書に頼ることなく、直接公判廷においてした審理の結果に基ずき評議を爲し、次いで判決書を作成しこれによって判決を宣告し得るものであるからである。しからば苟くもその判決と對照し公判調書中に訴訟手續の違背その他法令違反の廉が存しない限りは、所論のように單に判決宣告の除公判調書の未整理であったことの一事によっては原判決を破毀する理由とはならないのである。されば論旨は理由がない。(その他の判決理由は省略する。)

よって、刑訴施行法第二條並びに舊刑訴第四四六條に從い、主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎)

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